自動車産業で働く人が危ない!自動運転がもたらす3つのパラダイムシフト

クルマ

遅かれ早かれ自動運転の時代が訪れるのはもう止めようがない事実ですよ?

 

でも、まもなく自動運転がもたらすパラダイムシフトを知っていますか?

 

今後20年を生き延びるために、自動車関連産業に従事する方は必読です。

 

 

自動運転がもたらす3つのパラダイムシフト

1.自動車メーカーはただの生産請負人になる

automaker

まず1つ目のパラダイムシフトは、自動車メーカーがいまほど力を持たなくなり、大部分が淘汰されること。現在世界にはトヨタやベンツを始めとして400社を超える自動車メーカーが存在しますが、そのうちの30社ほどが普段僕らが耳にする主要自動車メーカーでしょう。

 

それら主要自動車メーカーは子会社や関連会社とともに、開発から生産、流通、小売りまでを行うとても大きな事業体。全就業人口の約1割が自動車関連であることからも、その事業の大きさが分かります。

 

現在各自動車メーカーは、局所的に他メーカーと協業することはありますが、基本的にボディのパーツ(ハードウェア)からコンピューター(ソフトウェア)に至るまでの開発を独自に行っています。

 

1990年代にパソコン業界で起こったことが自動車業界でも起こる

PC/AT互換機

PC/AT互換機が登場するまでのパソコン業界はまさに現在の自動車業界のそのもの。各パソコンメーカーは独自にハードウェアを設計し、独自にソフトウェア(OS)も用意していた。

 

しかし1990年代後半にPC/AT互換機が登場すると、ソフトウェアはマイクロソフト社のWindowsへと統一されて、各メーカーはハードウェアでの差別化を図るほかなくなりました。結果、パソコンは急速にコモディティ化が進んだのです。

 

独自の価値を提供することで唯一の例外として残ったのがAppleで、現在でもソフトウェアとハードウェアのどちらをも提供する会社としてしられています。

 

話を元に戻します。PC/AT互換機の登場以来、パソコンメーカーは、基本的にWindowsを動かすことを主眼に設計がなされていて、各メーカーが使用しているパーツには互換性があります(CPUやメモリなど)。

 

ということは、消費者にとってはどのメーカーのパソコンを選んでも基本的に同じ操作感(価値)が得られます。違うのはデザインや若干の操作性、パーツの信頼性などハードウェアに依存する部分だけです。

 

パソコン市場を切り開いたパソコンの祖とも言えるIBMが、このパソコンのコモディティ化をきっかけとして競争力を失い、レノボグループに買収されたのは記憶に新しいのではないでしょうか(2004年12月です)。

 

今度は自動車のコモディティ化

このPC/AT互換機の登場でパソコン業界に起こったことが自動車業界でも起こります。

 

自動運転の実現のためには、クルマを制御するソフトウェアにかなりの統一化が図られるのは間違いないでしょう。なぜならクルマと道路などのインフラの間で、またクルマ同士が情報連携するために共通の設計が不可欠だからです。

 

クルマのソフトウェアが統一され、それを供給するメーカー(自動車界のマイクロソフト)が登場した場合、自動車メーカーはどうやって商品を差別化するのでしょうか。それは、かっこいいデザインであり、乗り心地工場のためのシートやサスペンションであり、リラックスのためのスピーカーということなるでしょう。

 

これこそ自動車のコモディティ化です。

 

自動運転によって自動的に目的地まで行けるということが自動車の価値の本質に変化するならば、そのデザインを始めとするハードウェアの差別化でこれまで同様の利益を確保するのは難しい。

 

自動車メーカーは開発・生産・流通を請け負うだけ

その間にもソフトウェアはどんどん進化します。そうするとソフトウェア開発メーカーは、新しいソフトウェアを動かすのに必要なスペックを自動車メーカーに求めるようになる。

 

現在の自動車メーカーとソフトウェアメーカーの関係性は崩れ、ソフトウェアメーカーが自動車の設計を牛耳る立場になるでしょう。

 

自動車メーカーはそうしたソフトウェア要件を基にハードを考え、製造し、流通させる。思えばこれっていまのパソコンメーカーそのままですね。

 

自動車の統一ソフトウェアを開発する自動車界のマイクロソフトがどこになるのかは分かりませんが、現在のWindowsパソコンのように、ワイヤレスで自身のクルマのソフトウェア更新が行われるなんてことが起きるのは必至です(すでにTeslaがやっていますね)。

tesla

こういった状況になると、独自の価値を提供できる自動車メーカーだけが、Appleのようにソフトウェアとハードウェアを引き続き開発できるのでしょう。まあ多くは存在できないでしょうが。

 

2.職業ドライバーが必要なくなる

自動運転が本格普及すると職業ドライバーは明らかに不要になります。合計200万人にも及ぶ職業ドライバーの大多数は、なにか他の職を見つける必要が出てくるでしょう。

 

タクシードライバーが必要なくなる

タクシードライバーは平成22年の時点で約37万人いました。

 

バスドライバーが必要なくなる

バスドライバーは平成23年の時点で約8万人いました。

 

トラックドライバーが必要なくなる

トラックドライバーは平成27年の時点で約180万人いました。

 

3.自動車周辺産業の再編

自動運転技術が進むとあることが起きます。それは「事故がなくなる」ということです。それ自体はとても良いことなのですが、結果的に事故を飯の種としていたひとは困ることになります。

 

自動車保険業

insurance

言うまでもありませんが、自動車保険業は事故が起こることで潤う産業です。事故が起きないのに保険に入るでしょうか。全ての保険のうち、2014年時点で自動車(自賠責含む)が保険業界全体に占める保険料収入の割合はなんと60%超。

 

ソフトウェアによる事故も残るでしょうから完全に自動車保険が必要なくなるとは言えませんが、規模は10分の1にとどまれば良い方でしょう。

 

現在保険の代理店は全国に約20万店あるようですが、約半数は不要です。

 

修理

事故が皆無となれば、修理が必要なのは経年劣化によるものだけ。事前に予測できる故障の修理は単価も低い。よって現在全国に約9万ある認証整備工場の約半分は不要になるでしょう。特に家族で経営している小規模なものは薄利多売な状況を生き抜くのは厳しい。

 

弁護士

事故の際の慰謝料の交渉や過失割合の見直し、後遺障害の認定相談などを生業とする弁護士は、分野の見直しが必要となるでしょう。

 

警察

法律次第ではありますが、基本的に飲酒運転がなくなります。自分で運転していませんので。またスピード違反などの交通違反もほぼなくなるでしょう。

 

そうなると反則金を貴重な収入源としていた警察は困ることになります。税金かその他の収入源を考える必要が出てきます。

 

代替交通手段の発達

新たな産業が生まれます。例えばバスでもないタクシーでもないなにか。バスより目的地が詳細化していて、タクシーよりは大きな乗り物。

 

そういった交通手段は、電車での苦痛にまみれた移動を置換するでしょう。電車通勤を避けあえて都心に住む理由がなくなり、郊外の概念が一回り大きくなるかもしれません。

 

まとめ

自動運転が普及することは消費者にとってはメリットしかありません。現在自動車関連の職業についている人は、今後20年間は眠れない日々を過ごすかもしれません。自動運転によって不要となるもの、新たに生み出されるものをきちんと理解して動く必要があるでしょう。

 

また、日々進化を続けているパソコンや携帯と比較すると、自動車のソフトウェア(ナビゲーションなど含む)はお世辞にも優れているとは言えません。これら自動車のソフトウェアは消費者に他の選択肢を与えないことで自動車メーカーにとっての金づるとなっています。

 

なので不便でも時代遅れでも各自動車メーカーが独自に開発を続けてきたのです。自動運転の普及によってソフトウェアが統一化されれば、消費者にとって大きなメリットが生まれるでしょう。

 

パラダイムシフトで大きく変わる未来の自動車業界の構図。楽しみです。

 

さとすき

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