ウエイトトレーニングといえば主に、筋肉量を増やしたり最大筋力を上げたりするために行われるトレーニングです。
ウエイトトレーニングの効果を最大化するためにはこれまで、ダイエットには不向きとされる炭水化物の摂取が必須と考えられてきました。
なぜなら炭水化物の摂取によって分泌されるインシュリンが筋肉の成長に不可欠だったからです。
ところがこの定説をくつがえす研究結果が。
研究ではウエイトトレーニング時の「ケトジェニック食事法(総摂取カロリーは維持したまま、炭水化物を減らし脂肪を増やす食事法)」の影響を調査しており、ダイエットにも応用できそうな結果が出たわけです。
ちなみに「ケトジェニック食事法」とはケトン体をエネルギー源とすることから「ケトジェニック食事法」という名前がついています。
ダイエットなら筋トレとケトジェニック食事法(糖質制限)を組み合わせてみよう
1.ウエイトトレーニングとケトジェニック食事法を組み合わせるとどうなったのか?
研究の結果はと言うと、通常通り炭水化物をとっていたグループ(WD)と比較してケトジェニック食事法を行ったグループ(KD)は、脂肪が47%も多く減少し、テストステロン値が4倍以上高くなっていました[1]。
ちなみに筋力の向上はどちらのグループにも見られ、違いは出ませんでした。
2.研究はどのように行われたか
研究のデザインは以下:
- 対象は25名の大学生
- 2つのグループにわかれる(ケトジェニック食事法と通常の食事法)
- 対象期間は10週間
- どちらも同じウエイトトレーニングを行う
- 調査の最初と最後に体組織、筋力、テストステロン値などの測定を行う
3.今回の研究からよみとれること
ウエイトトレーニングとケトジェニック食事法を組み合わせることで、脂肪の大幅な減少が期待できるわけですが、ケトジェニック食事法を行ったグループのデメリットとして唯一考えられるのは、除脂肪体重(=筋肉と骨と内臓を合わせた重さのことでしばしば筋肉量増加の目安とされる)の増加が通常の食事のグループより少なかったことです。
除脂肪体重の増加が少ないことが意味するのは、筋肉量(≠筋肉の出力)をとにかく増やしたいボディビルダーや増量中のアスリートには向かないということ。
この一点をのぞき、ケトジェニック食事法は通常の食事より優れていたとよみとれます。
ウエイトトレーニングとケトジェニック食事法を組み合わせるメリットを以下にまとめます。
- 効率的に脂肪を落とすことが可能
- 筋力増加(出力増加)を犠牲にしない
- テストステロン値が高まる(健康増進、やる気のアップなど)
- 筋肉が太くなりすぎない(かもしれない)
ということで、増量中をのぞくほとんどのアスリートや健康目的でウエイトトレーニングを行っている人は、すべからくケトジェニック食事法をとりいれた方がいい可能性が出てきました。
4.ケトジェニック食事法をとりいれるうえでの注意点
ケトジェニック食事法は単なる糖質制限ではありません。
総摂取カロリーを維持するため、糖質を制限した分、脂肪を積極的にとる必要があります。
とうぜん毎日の献立の調整が必要となりますし、食材による栄養価の違いを細かく知っておかないといけません。
これまで脂肪が絶対悪とされた社会をすごしてきた僕たちは、いざ脂肪を多くとろうと思ってもなかなかその手法を思いつきませんし、脂肪を中心とした外食もそう簡単なものではありません。
また脂肪には様々な種類があるために、どの脂肪をとるべきかというのはなかなかに悩ましい問題です。
健康的に脂肪をとる例としては
- ナッツ類を食べる
- 調理にバター・オリーブオイル・ココナッツオイルを使う
- 料理にアボカドをとりいれる
- 青魚(サバ、アジ、イワシ、サンマ)を食べる
などが挙げられます。
十分な脂肪をとるうえでの現実的な選択肢としては、やはり青魚(+適度に肉)になるでしょうか。
ケトジェニック食事法は思ったより実現がたいへんそうですね。
さとすきー
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