ライフハッカーにこんな記事がありました。
「仕事ができない上司の下で仕事をするときの鉄則」についての記事です。
正直こういった記事・考え方が、いま問題の「ブラックな働き方」や「過労死」の一因となっていると痛切に感じるのです。
この手の意識高い系記事が問題である理由
1.僕たちは神様じゃない
今回の記事から引用します。
1. 絶対に上司の悪口も噂話もしない
将来の他部署への移動やキャリアアップの妨げになるため、どんなに上司が仕事ができない人であっても、上司の能力の低さや愚痴をほかの人に話してはいけません。
悪口と噂話は厳禁です。
2. 上司の役に立つ存在でいる
チームの苦手なことで自分は得意ということを探してできるだけその分野に集中してください。自分のできることをして、上司とチームにとってなるべく役に立つ存在になりましょう。そうすることで、上司に好印象を残せ、さらに上の役職の人たちの目にもとまることができます。
「上司ができない人」という前提において、これら紹介されている振舞いには、違和感ありまくりです。事実はともかくとして、8割の人は上司に不満があるでしょう。
電通で起きた悲劇のような労働環境で、こんなことを考えていたら追いつめられるに決まっています。
考え方と行動を見直すべきは上司の方でしょう。
2.日本はアメリカとは違う
2-1.社内に議論できる文化はあるか
4.対立せず協力する
上司と対立するのではなく、一緒に協力して仕事をする方法を見つければ、さらに仕事はスムーズにいくようになります。また、自分にできるところでリーダーシップを取ることによって、将来自分が管理職になるときの練習になります。
この記事はアメリカの記事を基に作成されています。
「上司と対立せずに協力する」と言えば聞こえはいいですが、それはきちんと議論できる土壌があってこそ。アメリカでは必要があれば、上下関係を超えて議論するのは当たり前です。
日本で同じように「上司と対立せずに協力する」と言ってしまうと、無条件に上司に従うことを意味するのではないですか?
2-2.タイトルがおかしい
今回の記事のタイトル、英語では
「Here’s What You Do When You’re Smarter Than Your Boss」
です。
日本語に意訳すると
「あなたが上司より賢いならこうしよう」
です。
あなたが「会社員として」上司より賢く、この会社のために生きていくと覚悟したなら、こういったやり方もいいでしょう。でも「すべての会社員がこうすべき」みたいなニュアンスは、ぜんぜん違うと思います。
みんながみんな、キャリア重視でもないでしょう。上司と対立したっていいじゃないですか。というか、むしろすべき。
3.実際の働き方にマッチしてない
8. 自分のキャリアの発展に集中する
上司の欠点を指摘するチャンスを待つより、自分のキャリアを発展させる方法を見つけましょう。
見当違いです。
キャリアを重視するなら、できない上司には目をつむれということですか?
10. 転職を考える
ここまでご紹介したことを全て実行していても、まだ被害が続くようなら、より良い機会を与えてくれる別の会社を探し始めるべきです。
仕事のできない上司の下で働くことは決して楽しくありません。でも、そんな状況にも良い面はあります。自分のさまざまな能力を高め、それを問題解決能力や対人スキルと共に周囲に示すには絶好の立場にいるということです。少なくとも、いつか面白い体験談として人に話すことができます。
簡単に言いますけど、転職を考えるって正気ですか?
雇用の流動性がなく、正社員ポストの少ない日本社会で、せっかく手に入れた職を簡単に手放せますか?
精神的に追い詰められている状況で、そんなモチベーション湧きますか?
僕自身は転職に肯定派ですけど、きちんと転職しやすい仕組み作りもセットにして考えないと、机上の空論もいいとこですよね。
最後に
この記事が全部おかしいとは言いません。実際に企業のマネージメント層や独立した人には、こういう考え方の人が多いです。
でもみんながみんな、マネージメントしたいわけでもないし、なれない。色んな層の人がいて、社会が成り立つわけで、どこが正しいとかないでしょう。
意識高い系思考に疲れたら、ちょっとのんびりしましょうよ。
さとすきー
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